鶴岡市中学生 胃がん予防事業

〜子どもたちの将来に向けた胃がん予防〜

 

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ヘリコバクター・ピロリについてのQ&A

中学生のヘリコバクター・ピロリ抗体検査や内服治療について、知っておきたいこと。

 


Q.何故中学生のピロリ治療が必要なの?

A.ピロリは主に小学校に入る前頃までに体の中に入り、気づかないまま胃の中にずっと住み続けます。抵抗力の弱い胃酸分泌の少ない幼少期に体の中に入ると考えられ、中学生以降に体の中に入ることはほとんどありません。

ピロリが体の中に存在し続けると胃炎になり、慢性的に胃炎が続くと、萎縮性胃炎になります。そして胃潰瘍、十二指腸潰瘍が起こりやすくなり、さらに胃がんの原因になることも分かっています。日本では胃がんの原因の95%以上がピロリの存在によるものと考えられています。

ピロリが体の中に入って間もない中学生のうちに内服治療を行うことで、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、そして胃がんをほぼ確実に予防できると考えられているからです。

 

Q.ピロリってどんなものなの?
A.ピロリは、正式にはヘリコバクター・ピロリといい、数本のベン毛を持ち胃の中を移動する菌で、オーストラリアの医師(*マーシャルとウォレン)が発見しました。胃の中は胃酸によって強い酸性になっていますが、胃の中にある尿素をピロリが出す酵素(ウレアーゼ)で分解し、アンモニアをつくりだすことで胃酸を中和し胃の中に住み続けます。
一度体の中に侵入すると、排除しない限りほぼ生涯にわたって胃の中に住み続けます。
*両博士は2005年にノーベル医学生理学賞を受賞

 

Q.ピロリはどのように体の中に入ってくるの?
A.ピロリは、口から入ってきて胃の中に住みつきます。侵入ルートとしては、衛生環境の整った現代では、家庭の中で祖父母や親から子への食べ物の口移しなどから入ってくることが多いといわれています。

 

Q.ピロリの検査とは?
A.ピロリ検査には、内視鏡(胃カメラ)で胃の生検(細胞を採取すること)を用いる検査と、内視鏡を用いない検査があります。
この事業では、内視鏡を用いない尿検査(ピロリ抗体検査)を行います。この検査での副作用はありません。尿検査は学校定期健康診断で採る尿を活用します。採尿容器(スピッツ)に線までたっぷり入れ、提出日に学校へ提出してください。(一次検査)尿検査で陽性となった場合、指定の医療機関を受診し二次検査(尿素呼気試験…息を吐いて調べる検査)を受けていただきます。その結果でも陽性となった場合、内服治療が行われます。

 

Q.ピロリの治療とは?
A.3種類の薬を1日2回(朝食後・夕食後)、7日間服用します。薬は2種類の排除薬と胃酸の分泌を抑える薬1種類です。飲み間違いのないよう3種類がパックになっているお薬を用います。
治療薬の影響で下痢を起こすことがあるため整腸剤も一緒に飲んで頂きます。薬のアレルギー症状を起こしたことがある場合は、必ず事前に医療機関にご相談ください。

 

Q.治療薬の副作用はあるのかな?
A.最も多い副作用は下痢と軟便です。1日数回程度の軽い下痢・軟便の場合では、治療を継続します。他には、味覚異常(味が少しおかしく感じる)や軽い吐き気、発疹が起きることがありますが、治療が終われば自然と治ります。
※厚生労働省研究費補助金を活用した全国調査(2013〜2014)によれば内服治療を行った18歳以下の小児・青年343人では、全体で14.7%に副作用が認められ、軟便が4.1%、軽度の下痢5.2%、発疹2.1%で重篤な副作用の報告はありませんでした。

 

Q.副作用が生じた場合はどうしたらよい? また医療機関の対応は?
A.副作用に対しては、通常の診療が行われます。ごくまれに薬に対するアレルギーで、気道の腫れによる息苦しさや、血圧低下などアナフィラキシーという状態になる場合があります。このような場合は、すぐに病院に連絡し指示を仰いで下さい。
重篤な副作用(治療による死亡、後遺症など)が生じたとされる報告は、現在のところ他市の取組みでもありませんが、病院が加入する保険などで、最善の対応をいたします。

 

 


7日間の内服治療終了後8週間以上経過してから、医療機関を受診し、内服前と同じ尿素呼気試験を受けて頂きます。内服治療成功の有無を判断し、その結果をお知らせいたします。排除に失敗した場合には、個別に医療機関と相談し、今後の対応を検討してください。

 

 


 


中学生で内服治療をすることで、将来の胃がんをほぼ確実に予防できると考えられています。しかし、内服治療をした人でも、ピロリが体の中に一度も入ってきたことがない人と比べると、胃がんの発症リスクは大きいと予測されています。
治療をした場合でも、症状があるときは、医療機関を受診してください。また将来の胃がん検診は、是非受けてください。

 

治療を希望しない場合は、胃潰瘍、十二指腸潰瘍やポリープ、胃がんのリスクがより高いことをご理解頂き、症状があるときの受診や将来の胃がん検診の受診を強くお勧めします。